
ゲーム理論で考えるマスカーニャ
先日Xで気になるポストを見かけました。
「初手マスカーニャミラーのとき、最速スカーフ同士なら1/2で負けレベルの不利を引くのだから、初手でとんぼがえりを打つのはハイリスクな択じゃない?」
という趣旨のものです。
実際そのとおりだと思うのですが、それでも自分はマスカーニャを使う際、特段の調整意図がないのであれば「マスカーニャは最速スカーフ、ミラーでは初手蜻蛉」が最適解に近いと考えています。
理由は二つあります。
(1)50%より高い勝率が見込めること。
(2)ゲーム理論的な最適戦略の可能性が高いこと。
(マスカーニャミラーに限った話です)
本記事では、この2つの理由から考察してみたいと思います。
【前提条件】
相手の型やプレイングなど複雑な要素が多いので、簡略化のために次の条件を設けます。
・シングルバトルの初手マスカミラーとする。
・こちら側の勝利条件は、「上をとって相手に蜻蛉を決める」or「相手の交換先に蜻蛉を決める」こととする。
・お互いの控えポケモンは一切考慮しない。
・バトルデータはポケ徹(2026/5/7時点)を採用する。
(1)50%より高い勝率が見込める
お互いアンノウンのミラーの場合、考慮すべき要素は主に次の4つです。
①相手が交換するorしない
②相手の持ち物がスカーフorそれ以外
③ようきorそれ以外
④こちらが同速勝負に勝つor負ける
※このほかに相手が交換読みするか、素早さ調整しているか等ありますが、細かくなりすぎるので割愛しています。
まず①について。相手のプレイングや状況によるので、替えるか替えないかは50%と仮定します。
次に②。バトルデータではスカーフが約65%、それ以外が35%となっています。
続いて③。同じくバトルデータでは、ようきが約53%、それ以外が47%となっています。
最後に④。これは純粋に50%です。
この状況でこちらが負ける(一方的に不利になる)のは、①相手が交換せず(50%)、②スカーフ持ちであり(65%)、③ようき(53%)かつ④同速ゲーに負けた(50%)時ですので、その確率は
0.5×0.65×0.53×0.5=0.086125(8.6%)
とざっくり概算できます。
9割近く勝率がある以上、初手蜻蛉は択として非常に優先順位が高くなるのではないでしょうか?
(2)ゲーム理論的な最適戦略の可能性が高いこと
ゲーム理論的な話をするにあたって、まずジャンケンの話をします。
グーチョキパーのあのジャンケンです。
あなたは Aさんと無限回のジャンケン勝負をしているとします。単純に勝率を競い合って勝負しています。
Aさんは今のところ、100%グーを出しています。この時、あなたの最も最適な戦略は、100%パーを出し、以降100%の勝率を稼ぐことでしょう。これは、ゲーム理論的には搾取戦略
と位置付けられます。
Aさんも、あなたが100%パーを出すことに気が付き、グーではなくチョキかパーを出す戦略に切り替えてきました。勝ちか引き分けを狙っているようです。
これに対しあなたは、パーだけではなく、チョキかパー、たまにグーも混ぜて対抗してみます。お互い試行錯誤しながらこれを繰り返していくと、最終的にお互いが
「1/3の確率でランダムにグーチョキパーを出す」
という戦略にたどり着きます。
お互い1/3でランダムに出すので、お互い1/3で勝ち、1/3で負け、1/3で引き分けとなるのだから、勝率は常に1/3が維持されます。
他方が1/3戦略を取り続けるなら、もう片方も1/3戦略を取り続けなければ(=他の戦略に変えてしまえば)一方的に搾取戦略を取られるリスクがあるので、お互いにそれ以上戦略を変えるインセンティブが無くなります。
これが、ジャンケンにおける均衡戦略と言えます。
ここで重要なのは、
「こちらが均衡戦略を取っている時、相手がどのような戦略を取ってもそれ以上搾取されることはない」
ということです。
あなたが1/3でグーチョキパーを出し続けていれば、相手が100%グーを出そうと、50%出そうと、0%だそうと、どのような戦略を取ってきてもあなたの勝率は1/3を維持し続けます。
ポケモンの話に戻りましょう。
ポケモンは搾取戦略を取るゲームと言えます。
環境を分析し、傾向を掴み、対策を取る。これの繰り返しで相手から少しでも多くの勝率(レート)を搾取します。
よく聞く「環境回ってる」と言う言葉は、上記を表しています。育成が楽になっていく昨今、搾取合戦はどんどん加速していくでしょう。
さて、(1)の結果のみを考慮すれば、自分が搾取される要素(交換50%、スカーフ以外35%、ようき以外47%)を削っていく必要があり、最終的にほとんどのプレイヤーが
「マスカーニャは最速スカーフ、ミラーでは初手蜻蛉」
の戦略にたどり着くのではないでしょうか?
そしてこの結果、環境に最速スカーフマスカーニャしかいなくなった時、初めて純粋な同速50%の勝負が実現するわけです。
もちろん、そんな環境は実現し得ないので、50%よりも高い確率でこちらの勝率は維持できそうですね。
逆に言えば、スカーフ初手蜻蛉は相手の戦略にに依存せず、こちら側は常に50%以上の勝率を確保できる戦略であり、マスカーニャにおける均衡解的な戦略であると言えるのではないでしょうか。
そんなことを考えながら、今日も同速運ゲに挑み続けていくわけです。
KaTaGiRiです。 元ポーカープレイヤー。特性はいたずらごごろ。 ポーカーで学んだ知識を基に、主に座学・コラム系のポケモン記事を書いています。記事にいいね頂けるととても喜びます。 たまに香川で対戦オフを開催。